医学部予備校ガイドTOP » 【大阪医進予備校】井上麻矢さんが気付いた「親の愛」

井上麻矢さんが気付いた「親の愛」

予備校名:大阪医進予備校 掲載日:2015/07/24

 ホームルームを実施しているのは毎週木曜日ですが、何かの理由で木曜日に実施できないときは金曜日に変更しています。ところが、先週は木、金とあの台風11号の襲来でそれどころではありませんでした。生徒の居住地が奈良、大阪、兵庫などの為、その地域に大雨、暴風警報が出た場合、当塾では生徒に自宅待機することを指示しています。そのために先週木曜日夕方から金曜日にかけて、当塾は休みとなりました。それにしても大変な台風でした。この頃、台風に限らず大雨による大災害がよく発生しますね。昨年の8月広島は大変でした。また、数年前の奈良や和歌山などの大水害も記憶に新しいところです。明治の中頃にも紀伊半島の同じ地域を台風が襲い、村民の数千人が北海道に移住し、新十津川村を築いたという話をあるテレビ番組で見ました。これって大変なことですよね。数千人も一挙に移動するなんて余程壊されたものが大きかったんでしょう。東南海・南海大地震も心配されていますが、白鳳13年(685年)に実際に起きたとされる白鳳の大地震は、南海、東海、東南海地震が連動して起きたようです。その時、今の高知のある場所ではひとつの村が海中に消えたと口伝されています。こう見てみると、日本国民は太古の昔から防ぎきれない大災害に苦しめられてきたようです。有史以前から数々の大災害が繰り返され、今に至るもやはり同じことが繰り返されている。あまりに突然に襲ってくる大自然の脅威は人間の浅薄な知恵では防ぎきれないものなんでしょうか。自然の脅威に曝されない平和な世界がやってくれば嬉しいですね。
 
 さて、先週に代わり、昨日漸くホームルームを開くことができました。井上ひさしさん(作家)の娘で、井上麻矢さんのお話をさせてもらいました。お父さんの井上ひさしさんは「ひょっこりひょうたん島」(人形劇)などで人気を博した昭和のベストセラー作家です。麻矢さんのお母さんである前妻好子さんとの離婚(1986年)騒動は大いに世間を賑わせました。その顛末を、私も自らの意思とは無関係に見せ付けられたものです。あの渦中で麻矢さんは大変傷つき、「極端に言えば『故郷』を失ってしまったいう感覚」と書いてます。帰るべきところを失ってしまったという気持ちなんでしょうか。「そのときの喪失感や嫌悪感は未だに自分という人間の核となって、居座っている」とも書いています。本当にその心境はわかるような気がします。今まで母がいて、父がいて(何不自由なく幸福だとまではいわなくても)、平穏無事に何となく幸福だった日常が壊れていく。子供にとって、両親の離婚はあってはならないもの、父、母、自分、姉妹(兄弟)がいてこその家族。その誰もがそこにいてしかるべきものであって、誰一人として欠くことはならないもの。特に父や母はそうである。それが、ある日突然に離婚(井上家はそうであったようです)。その後、麻矢さんは、父親を許せずにいました。しかし、ある日、父娘の関係が変わります。父親が「いつの間にか、知らない間に、君はしっかり地に足をつけてしっかり大人になったんだね。」と何時間も麻矢さんの言葉に耳を傾けてくれたときから、父親と色々な話ができるようになります。その時に、親の愛情が形を変えて巡ってきたことを実感します。また、幼い頃両親にとても可愛がられてたことも思い出します。麻矢さんは、失ったと思っていた「故郷」を取り戻したと感じました。というよりもかけ替えのない「故郷」とは、自分が幼い頃に体験したことの全てであったと気付いたのです。麻矢さんは、親から自立できた今、あの両親の離婚という辛い経験を乗り越え、漸く「故郷」に戻ることができたのです。両親は離婚しても、自分と父、自分と母との関係まで終わってしまうわけではないということに気付いたのでしょう。

 この話を終えて、私は生徒たちに言いました。「君たちは、麻矢さんのようにご両親が離婚しているわけでもない。しかし、ご両親の愛情を本当に受け止めることができているだろうか。麻矢さんは、ご両親の離婚によって心の中に傷を負い、深い喪失感を味わうことになった。だけど、自立した今、それが為に却って掛け替えのない両親の愛を知ることになった。何事の苦労もなく育っている君たちにとって、特に親の愛を麻矢さんのようにはっきり意識することもないだろうが、親の愛というものは何事があっても君たちと一緒にあるものだということは忘れないでほしい。」

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